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本年も「女性の権利110番」が実施されました 

会報「SOPHIA」令和3年7月号より

両性の平等に関する委員会 委員 砂 原  薫

1 概要


 6月28日10時から15時まで、イーブルなごや相談室(名古屋市男女平等参画推進センター)において、「女性の権利110番」が開催されました。
 この企画は、毎年、男女共同参画週間(6月23日から同月29日まで)を中心に、全国の弁護士会において行われている、女性の権利一般に関する無料相談です。
 愛知県では、面接相談(10枠)と電話相談の方法で実施しました。


2 相談の内容


 当日は、20代から70代以上の方まで、幅広い世代の女性から相談が寄せられました。
 面接相談はすべての枠に予約が入りました(2件は当日キャンセルになってしまったので、実際には8件の面接相談がありました)。また、電話は途切れることなく鳴り続け、合計20件の相談がありました。
 相談内容としては、夫婦関係(離婚)に関するものが圧倒的に多く、婚姻費用、養育費、財産分与等の離婚をめぐる問題についての相談が数多く寄せられました。
 他にも、DVやストーカーの相談、マタハラ等の労働問題、借金関係等の相談もあり、相談内容は多岐にわたるものでした。

3 具体例


 私は、面接相談1件、電話相談1件を担当しましたが、いずれも離婚に関するご相談でした。
 1件は、夫と離婚したいが、財産分与がどうなるのか、養育費がきちんと支払われるのか、といった内容のご相談でした。相談者において夫の財産を正確に把握できておらず、どういった財産が夫婦の共有財産として財産分与の対象になるのか、といったことを不安に思われているようでした。また、お子様が小さいことから、転居先によっては、お子様の教育環境等への影響が大きいのではないかという心配もおありとのことでした。
 もう1件は、夫や夫の家族からのDV・モラハラに耐えかねて別居に至ったが、離婚するにはどうすればよいかというご相談でした。相談者は生まれたばかりのお子様を抱えており、離婚の手続だけでなく、離婚後の生活にも不安が大きいご様子でした。


4 110番に参加しての感想

 今回、110番に初めて参加いたしましたが、離婚に関する悩みや不安は、幅広い年代の女性において、大きな問題となっていると改めて感じました。
 また、別居や離婚後にどうやって生活していくかということも、多くの女性にとって深刻な問題だと改めて認識しました。転居先や安定した就職先の確保が難しいために、離婚したくてもなかなか決断できない女性は少なくありません。そのような女性が、別居後や離婚後に安心して生活できるように、弁護士や他の専門家、相談機関が連携して、当事者をサポートしていくことが必要な場合も多いでしょう。
 今回は離婚の相談が多かったですが、女性の権利の問題は多種多様です。今回相談がなかった問題についても、今まさに不安や悩みを抱えている方はきっといるはずです。そのような方々が、弁護士等の専門家や相談機関につながることができるよう、今後も女性の権利の問題について周知を続けるとともに、110番のような機会があれば積極的に参加していきたいと思います。